「OD式安全性テスト」は、1967年に開発され、現在では全国の自動車教習所において実施されています。信頼性、妥当性の高い「運転適性検査」として、不動の評価を得ているテストです。
「OD式安全性テスト」は、“運動機能”、“健康度・成熟度”、“性格特性”、“運転マナー”の4つの観点から、その人の安全運転に関する適性を総合的に診断します。 また、「運転適性度」と「安全運転度」の総合評価から、大きく4つの運転タイプに分類されています。
診断結果を、ビジュアル的なレーダーチャートに表示することができます。運転に必要な全診断項目の中でのバランスや、どこに弱点があるのかが一目でわかるための工夫です。
診断書は、大きく分けて3つから構成されています。
総合評価 | 運転適性度と安全運転度から構成されています。 |
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特性別評価 | 安全運転に必要とされる16の特性ごとの評価を判定します。 |
診断文章 | 総合診断は、安全運転にとっての強みと弱みについて、具体的にコメントしています。 |
運転適性度 | 「運転適性度」は、主として注意力、判断力、 決断力、動作の安定性などを総合的に評価しており、運転に必要となる精神的な運動機能を総合的に見ています。精神的な運動機能とは、外界からの情報を認知し、判断し、操作するといった運転行動に直接的に影響を与える要素です。スムースな運転操作の可能性や 運転技能の習得と関連します。 |
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安全運転度 | 「安全運転度」は、主として性格やマナーなどを総合的に評価しており、事故を 起こさずに安全に運転する可能性を見ています。 いくら注意力や判断力といった精神的な運動機能面 が優れていても、怒りっぽかったり自分本位であったら、それらを十分に発揮できなくなります。 |
運動機能は、A~Eの5段階で判定しています。
健康度・成熟度、性格特性、運転マナーは、A~Cの3段階で判定しています。
5段階ではD、Eのとき、3段階ではCのときが低評価です。低評価項目が安全運転にとっての弱点を意味していますので、特に注意してください。
測定内容 | |
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領 域 | 測定内容 |
運動機能 | 認知・判断・操作など、安全運転に必要な運動機能面 の適性を評価するものです。 |
健康度・成熟度 | 安全運転に必要な心身の健康状態および、社会性について評価するものです。 |
性格特性 | 安全運転に必要な性格的側面 について評価するものです。 |
運転マナー | 交通 ルールを守って、安全運転をしようとする心構えや習慣を評価するものです。 |
運転適性は、4領域、16の特性によって構成されています。
診断結果から、安全運転をしていく上での、”強み”と”弱み”について具体的にコメントしています。「安全性についての注意点」は、運転する上で、特に注意が望まれる点(弱点)を説明しています。
長所を伸ばし、弱点が運転中にあらわれないような運転を心がけましょう。
適性とは、読んで字のごとく“適した性質”ということを意味します。ここで言う性質とは、能力、性格、態度、価値観、欲求などパ-ソナリティを構成する様々な要素のことです。運転に関する適性を運転適性と呼び、仕事に関する適性なら職業適性と呼びます。
運転適性検査は、免許取得が可能かどうかを判断するためのテストではありません。あなたの心理面などで、問題点がどこにあるかなどの自己理解を深め自覚することで、今後の安全運転に役立てていくためのものです。ですから、結果が悪くても運転免許が取れないというようなことはありませんのでご安心ください。
交通事故の原因のほとんどは人間にあるといわれています(一説によると9割ともいわれます)。つまり、ヒューマンエラー(操作ミスや見落としなど)が事故の最大原因であるということです。運転は環境(道路、天候、他車、人、標識など)から発信される情報を認知し、その情報の持つ意味を瞬時に判断して運転操作をしています。この認知、判断、操作のくり返しが運転行動になるわけです。
例):認知《ここは通学路か》→判断《帰宅時間かな》、《子供が飛び出してくる可能性があるぞ》、 《スピードを落として運転をしよう》→操作《アクセルをゆるめる》
運転適性検査は、このプロセスに影響を与える能力や性格、遵法意識(法律を守ろうとする意識)などをとらえ、どこに事故に結びつきやすい点があるのかを探るためのものです。事故を未然に防ぎ、安全運転を遂行していくには、まず自分を的確に理解し、把握することが大切です。自分の中に、安全に運転行動を遂行していく上でどのような弱点があるかを把握する、そのために運転適性検査が必要なのです。
運転適性は変化するものと考えられます。運動面 に関して、反応の速度を考えてみましょう。例えば急に目の前の状況が変化したとき、一般的に18歳の人は60歳の人より素早く反応できると思います。逆に性格面に関しては、年齢が高くなれば社会経験も豊富になり、人間的にも幅が広くなってきますので、当然若い頃のような無茶もしなくなりますし、交通ルールを守ろうという意識も高くなってきます。また、経験や訓練によって、行動の基準も変わってくるでしょう。その意味で、適性は変化すると考えてよいでしょう。
教習時間が長くなるとは、一概には言えません。しかし、適性検査の結果で評価が低かった項目と関連のある運転行動は円滑にできないことも考えられます。このような場合、教習指導員からなかなか合格点(みきわめ)をもらえないことがあります。合格点をもらえなければ、次のステップに進めないので、教習時間もそれだけ増えていきます。適性検査の結果で評価の低かった項目に気をつけて、確実に習得するよう練習に取り組むことが大事です。
わかります。 テストを開発するときに一番重要なのは、測定する目的をきちんと測っているかということです。運転適性検査は、安全性を左右する要素を測ろうとしています。そのためには、その目的にあったテストでなければなりません。適性検査に限らず、心理検査は目的を達成するために、きちんとした手順に基づいて開発されているのです。また、検査の実施の手順も決められており、すべてが手順を守って行われていれば検査の結果は信頼できると言ってよいでしょう。
運転適性は経験や教育・訓練、加齢などの影響を受けて変化していきます。したがって、短時間の間に何度も受検しても運転適性に変化はみられないのが通常です。適性検査を再受検するときには、ある程度の期間をあけるとよいでしょう。
事故を起こしやすい人(ヒューマンエラーを起こしやすい人)の特徴としては、以下のような人があげられます。
1.動作や行動に誤りが多い人
2.感情が激しい人
3.せっかちな人
4.注意力に欠ける人
5.精神的に安定しない人
6.安全態度に欠ける人
7.自分のことを的確に把握していない人 など
(1)天候、道路など環境に原因のあるもの
(2)整備不良、エンジントラブルなど車に原因のあるもの
(3)人間に原因(ヒューマンエラー)があるもの
原因は上記のように3つに大別できます。 しかし、その大半はヒューマンエラーだと言われています。 事故の原因の約9割がヒューマンエラーだ、という人もいます。
運転に関するヒューマンエラーとして、以下のことが代表的です。
(1)道路標識の見逃し、不注意、居眠りなどの情報を認知する以前のエラー
(2)漫然運転など。情報は見ているけれど、その意味を理解していない
(3)曲がるだろう、止まるだろう、曲がれるだろう・・・のように思い込みや過信によるエラー
(4)スピードの出しすぎ、アクセルとブレーキの踏み違い、急ハンドルなど、運転操作上のエラー